“予算内で理想の住宅を” 設計から施工までを手がけるベテラン建築士
“1級建築士”と“工務店の社長”の二つの顔を持つ男のポリシーは、予算ありき!
JR西明石駅から徒歩約10分のところにある株式会社原田建築設計工房。代表取締役の原田季正(はらだ としまさ)さんは、“1級建築士”と“工務店の社長”の二つの顔を持っています。同社も所属している社団法人兵庫県建築士事務所協会の中でも、工務店の機能を抱える設計事務所は珍しいのだとか。「仲間の建築士からは“わざわざ施工にかかわらなくても、設計の仕事だけに集中すれば良いのに”と、不思議がられることもありますが、最初から最後まで家創りに携わっていたいんですよ。家創りは、おもしろくてしょうがないですから」。独立してから30年以上、建築士でありながら設計段階のみならず、施工・竣工までの全工程に携わるスタンスを貫き通しています。「設計で描いたイメージを丁寧に丹精込めて形にしていきたい」。原田さんからは、家創りに相当のおもしろさを感じていることが伝わってきました。
家創りに誠実に向き合い、これまでに手がけてきた物件は数知れず。戸建て住宅からマンションまで多岐にわたり、事務所の棚の中には数えきれないほどの図面の山が大量に保管されています。「最近では紙に図面を書くことも少なくなりましたからね、これらは昔書いたものでほんの一部です」。これに加えて、データで保存されている図面もあると聞いて驚きました。
建築士として長いキャリアを誇る原田さんは、予算内で施主が望む理想の住宅を創れるかどうかが腕の見せどころだと言います。「“こんな雰囲気の家を建てたい”、“こんな暮らし方がしたい”といった施主の要望を聞いて頭の中にインプットし、つちかってきたノウハウや経験を照らし合わせれば、イメージが出来上がります。そうすることによって、お金をかける部分とかけなくても良い部分が明確に見えてくる。予算の配分がきちっとできれば、例えば1000万円の予算でも十分に理想の住宅を創ることが可能です」。実際に施工にまでかかわっている建築士の言葉だからこそ、説得力を感じます。景気回復の兆しが見えにくい今、コストを抑えたいと考える多くの施主にとって“予算ありき”を第一に掲げる建築士は頼もしく映るのではないでしょうか。
施主とのコミュニケーションが理想の住宅創りには必要不可欠
“施主の要望をインプットすれば、具体的なイメージがわいてくる”との言葉を聞いて建築士としての高いセンスを感じましたが、原田さんは“その秘訣(ひけつ)はコミュニケーションにある”と教えてくれました。「施主との打ち合わせは雑談も交えながら時間をかけてじっくり行います。趣味や家族構成など、何気ない話の中にも施主の家創りに対する思いや考えが隠されていることがよくありますからね。それらを総動員して、家創りに生かしていきます」
また、打ち合わせでは施主の疑問は徹底的に解決することが建築士としての使命だとも。「専門家にとってはたいした問題ではなくても、一般の人から見れば疑問に思ったり、不安に感じたりすることは当然あります。私は細かいことまで気になる人には、より細かいスケールの説明を徹底し、安心してもらえるように心がけています。難しい専門用語を並べて、施主の質問を煙に巻くような建築士には頼まない方が良いと思いますよ(笑)」。軽い毒舌(どくぜつ)には、コミュニケーションを絶対におろそかにしない原田さんの姿勢がうかがえました。
施主との出会いに感謝し、完成まで住宅創りにこだわります
原田さんが設計した図面をもとに、現場で施工にかかわる大工は原田建築設計工房の社員。新築でもリフォームでも施主からは「仕事に対して真面目」と評判だそうです。しかし、原田さんは自らも現場で汗を流すことを怠りません。「現場にはよく出向きますので、社員には“うるさいのが来た”と思われているでしょうね(笑)」。社員の真面目さに、原田さんの厳しいチェックと住宅創りへの強いこだわりが合わされば、まさに鬼に金棒。このエピソードも、30年以上も施主からの信頼を積み重ねてきた同社の実績を裏付けています。
「携わってきた家創りはすべて“奇跡”だと思っています。手がけた物件の数だけ人との出会いがあって、それらは大切な思い出です」。建築士として文句の付けようのないスキルと、人情味あふれる性格を合わせ持つ原田さんは、これからも“奇跡”を楽しみながら施主にとっての理想の住宅を提供していくことでしょう。
(取材年月:2009年12月)